日本のそば文化

皆さんがよく食べられているそばは、日本食として食べられるため、中華そばとの対比で日本そば、沖縄そばとの対比で和蕎麦と呼ばれることがあります。日本の食文化と深く結びついているそばは日本の各地でそれぞれの食べられ方をしています。
そこで、福井県のおろしそばだけでなく北海道から沖縄まで全国のご当地そばをまとめました。

釧路そば 【北海道】
釧路では、そばの実の中心部分を挽いた更科粉(一番粉)で作る更科そばが主流。東家(あづまや)というお店の系統では、更科そばをクロレラで緑色にした「東家の藪そば」が有名です。東屋というお店の初代の伊藤文平氏が1874年に小樽で作られた夜啼き蕎麦屋が始まりと言われています。新蕎麦が緑色であるため、そばが緑色であればいつでも新蕎麦を食べている気分を味わえるという所から緑色の蕎麦が始まったそうです。

津軽そば 【青森県】
江戸時代に生まれたと伝わる津軽そば。
この「津軽そば」が他と異なるのは、つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使うことです。そばだけでは足りない栄養を、大豆のタンパク質で補うために使われたと言われています。
「津軽そば」は長い時間水に浸しておいた大豆を丹念にすりつぶし、その呉汁をそばがきに混ぜ合わせて生地をつくります。その生地を半日ほどねかせ、熟成させてから、そばを打ちます。
やわらかくてコシがあり、もちもちした食感で、そばの風味と大豆のほのかな甘味が同時に味わえます。

わんこそば 【岩手県】
日本三大そばのひとつです。
熱いそばつゆをくぐらせた一口大のそばをお客さんのお椀に入れ、食べ終わり次第給仕の方がそのお椀に次々とそばを入れ続け、それをお客さんが満腹になりふたを閉めるまで続けるといった食べ方の蕎麦です。
お椀(わんこ)で食べる温かいそばで、お代わりを入れる際に「どんどん」などの掛け声を発しているお店もあります。

西馬音内そば 【秋田県】

秋田県羽後町西馬音内では多くの蕎麦屋が古くから営まれています。
代表的な「冷やがけ」などを筆頭に、西馬音内そばとして親しまれています。
発祥は「弥吉そばや」の「砂場」系統のそばである冷やがけだといわれています。

冷たい肉そば 【山形県】

山形県西村山郡川北町で食べられる冷たい肉そば。つったいそばとも呼ばれます。
冷たいといっても氷を入れたりして食べるわけではなく、お店では常温で提供されます。
こしの強い田舎蕎麦に、具材は鶏肉とネギが中心となっていて、つゆは鶏骨だしで冷たくしてあります。また、使用される鶏肉は若鶏ではなく、歯応えのある親鶏をメインとした硬めの鶏肉が好ましいとされています。

板そば 【山形県】
板そばは主に山形県の内陸部で親しまれています。
盛り付けた見た目はざるそばに似ていますが、ざるそばと大きく違う点がそばがざるではなく木で作られた長方形の浅い箱状の器に薄く均一に盛られる点です。水分の吸収がこの器に盛られた方がそばに適していると言われています。
このような盛られ方をするようになった由来は昔大きな長い板や木箱にそばを盛り付け、農作等の共同作業や集会後に振舞ったこととされています。大きな木箱に盛られた山形の田舎蕎麦を複数の同席者と分け合って食べて、一緒に食べた人とのご縁が水がこぼれ落ちるざるではなく板につくようにという思いが込められているそうです。

猪苗代そば 【福島県】
福島県のほぼ真ん中にある猪苗代町は寒暖差のある気候、土地の条件がそろっているため、東日本有数のそばの生産地となっています。
そんな猪苗代で作られた蕎麦のことを猪苗代そばといい、田舎蕎麦です。

秩父そば 【埼玉県】
埼玉県の秩父地方は、古くから痩せた土地であるため、そばの栽培に適した土地として知られていました。盆地、山地であるため、一日の寒暖差や夏季と冬季の気温差が大きいです。こういった気候を活かして作られる秩父そばは、腰が強く、風味が豊かなんだそうです。

深大寺そば 【東京都】
東京都調布市の深大寺周辺に伝わるそばで、江戸名産の一つです。江戸時代、土地が米の生産に向かなかったため、代わりに蕎麦粉を深大寺に献上し、それを寺側がそばとして打って来客にもてなしたことが始まりとされています。毎年秋に「新大寺そばまつり」が行われるそうです。

信州そば 【長野県】
長野県で作られる蕎麦の総称です。信州で作られる蕎麦は旧来から全国的に知られて、江戸期の「俳句集」や「本朝食鑑」に書かれるほどです。中でも有名なのが戸隠そば、富倉そばです。

・戸隠そば 
日本三大そばの一つです。
山岳信仰の栄えた戸隠地方では、古くから修験者が多く集まり、その際の携行食料としてそばが戸隠に伝わったとされています。
そばの甘皮を取らずに挽く挽きぐるみの蕎麦粉を使用します。
延ばすときに麺棒一本のみを使い、四角く伸ばす四つ出しをせず、丸延ばしをします。商品として出すとき、水をほとんど切らずに「ぼっち盛り」と呼ばれる独特の盛り方を円形のざるに行います。「ぼっち盛り」は、一つのざるに5か6束(ぼっち)ほど、開口部のつぶれた馬蹄状に盛る形式です。束数は戸隠内の地域ごとに変わるそうです。
ただし、ざるに盛られるそばであっても、海苔がかけられないことも特徴の一つとしてあるそうです。薬味の大根おろしには、信州の伝統野菜に認定されている地元の戸隠大根と呼ばれる辛味大根が使われます。

・富倉そば 
飯山市富倉地区で作られる蕎麦です。つなぎにオヤマボクチと呼ばれるヤマゴボウの葉が使われています。一般的につなぎに使われる小麦が富倉地区ではとれないため、オヤマボクチをつなぎとして使われたそう。風味が良く噛みごたえがあるそうです。

へぎそば 【新潟県】
新潟県魚沼市発祥のそばです。つなぎに小麦ではなく布海苔という海藻が使われ、へぎという器に盛りつけた切りそばです。
魚沼地方で織物の緯糸を張るために使用されていた布海苔をつなぎに使っているため、他のそばよりツルツルとした喉越しを楽しむことができるそうです。
「へぎ」と呼ばれる、はぎ板で作った四角い器で提供されます。

茶そば 【京都府】
そば粉に抹茶を練り込んで打つ変わり蕎麦の一つです。
茹で上げた後水洗いをして、もう一度湯通しして熱盛りにして提供されるとお茶のそばの香りが引き立ちます。
京都の他にも、静岡県の郷土そばとしても有名です。

出石 皿そば 【兵庫県】
出石焼の小皿に盛りつけた皿そばを何枚も食べる様式のそばです。
五枚一組を一人前として、薬味と徳利に入った出汁で食べます。
小皿でそばが分けられているため、多種の薬味と一緒に楽しむことができます。
つゆは一般的に鰹と昆布の出汁とされています。

丹波そば 【兵庫県】
兵庫県丹波地方では、そばの一つに「丹波黒豆そば」があります。そばの麺を作る過程で、丹波の黒豆を練り込んで作られるそばで、丹波地方で有名な黒豆の香りを楽しめる蕎麦となっています。

出雲そば 【島根県】
日本三大そばの一つです。
出雲そばの蕎麦粉は、蕎麦の実を皮ごと石臼で挽いて作られます。そのため蕎麦の色は濃く黒く、香りも強いです。特徴的な食べ方として割子そば、釜揚げそばという食べ方があります。

・割子そば
重ねられる丸い漆器に茹でた蕎麦を盛って出したものです。三段に重ねるのが一般的で、別途薬味とだし汁の容器がつきます。
だし汁自体を器に入れて、その上に青ねぎ、海苔、大根おろし、削り節などの薬味を載せていただきます。
三段重ねの場合、1番上の割子に入れただし汁を二段目三段目と使い回して順に食べていきます。

・釜揚げそば
釜や鍋から茹でた蕎麦を蕎麦湯ごと器によそったものが提供されて、食べる側が濃度を調節して青ネギや薬味を載せて食べます。
茹で上げた麺を水洗いせずそのまま食べるため、ぬめりがとれず喉越しは良くありませんが、その分そばの味、香りが直接伝わるそうです。

瓦そば 【山口県】
山口県下関市豊浦町発祥の蕎麦料理です。
熱した瓦の上に茶そばと具を載せて、温かい麺つゆで食べる料理です。西南戦争の際に薩摩藩の兵士たちが、野戦の合間に草や肉を瓦で焼いて食べたのを参考にして、旅館で提供されたのが発祥とされています。
家庭では、瓦ではなくホットプレートやフライパンを用いられて食べることが多いそうです。

南阿蘇そば 【熊本県】

阿蘇山と南外輪山の間にある南郷谷で作られた蕎麦です。心地よい舌触りとつるっとしたのど越しが特徴の蕎麦です。

沖縄そば 【沖縄県】

和蕎麦とは異なり、蕎麦粉を使わず小麦粉のみを使った蕎麦です。製法は中華麺と同じで、分類的には中華麺の分類になりますが、味や食感などがラーメンより蕎麦やうどんに似ています。
八重山列島や宮古島では別々の形のものが食べられていて、それぞれ八重山そば、宮古そばと呼ばれたりもするそうです。
一般的な蕎麦との違いとして、茹で上げた麺に油をまぶして、冷水で締めずに自然冷却して作るというところがあります。この工程により、沖縄そば独特の表面が固くボソボソとした食感になるそうです。
スープはほとんどの場合、豚出汁と鰹出汁のブレンドで、比率は店によってまちまちだそうです。

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