福井県越前そば 麺での食べ方(そば切り)について

①そば打ち

 現在最も普及している打ち方は、俗に「江戸流」と呼ばれる、打ち棒と巻き棒を使用して四角い形にそばをのばす打ち方で、多くのそば店やそば打ち愛好家を中心に行われています。一方、福井県で昔から行われている伝統的な打ち方に「一本棒丸のし」というものがあり、太い打ち棒一本で丸い形にそばをのばす打ち方があります。中山間地など昔からそば文化が根付いている地域では、「一本棒丸のし」が現在でも行われています。「江戸流」は狭いスペースで効率よく食数を得るために考案された技術で、生地をめん棒でプレスしながら押し広げるようにのばすため、歯ごたえのあるコシの強い麺を打つのに適しています。一方、「一本棒丸のし」は生地を押しのばすのではなく、めん棒に巻きつけながらストレスをかけずに広げるので、もちもち感のある優しい食感の麺に仕上がるのが特徴となります。そば店によっては、求める麺の違いに応じて打ち方を変える店もあります。

     

        

        

②越前おろしそば

 麺の切り幅は2mm程度とされ、麺の太いことに特徴を持つのが福井県のそばとなります。そのため、ずるずるっとすするよりは、じっくりと噛んでそばの味を味わうのが福井流です。県内で最も一般的な食べ方は、「越前おろしそば」となります。一言で「越前おろしそば」といっても、実は食べ方にいくつかバリエーションがあり、大別すると以下の3つに区別できます。

        

(i)そばに大根おろしとネギ、かつお節をのせ、その上からそばつゆをかける

(ii)大根おろしをあらかじめそばつゆと混ぜ、ネギとかつお節をのせたそばにかける

(iii)大根おろしの搾り汁をあらかじめそばつゆと混ぜ、ネギとかつお節をのせたそばにかける

       

 また、メニューの出し方も店によって異なり、始めから麺にそばつゆをかけた状態で提供する店や、薬味だけを麺にのせてそばつゆを別に提供する店、薬味もそばつゆも別に出して美味しくなるようお客様の好きなように調整できるようにする店など、様々なパターンのお店があります。いずれのスタイルも「大根おろし」「ネギ」「かつお節」を使い、そばつゆをかける点は共通していますが、出汁や大根の種類などの細かい部分では多様性を認めています。一つの食べ方に特定せず、店ごとに、家ごとに異なる味を楽しめるというのも「越前おろしそば」の特徴であり、醍醐味となります。

     

           

            

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