福井県越前のそば打ち文化

福井県には古くからそばの食文化が根付いており越前そばや越前おろしそばなどが県民の生活に欠かせないものとなっていると同時に、そば打ちも盛んに行われてきました。
 昔は、そば打ちは各家庭で行われるのが当たり前であり、農村を中心にそば打ちが広く普及していました。つくるのに手間暇がかかる麺状のそばは特別な料理として重宝されており、重要な来客が来た際にはそばを打ってもてなしたと言います。今庄など、昔からのそば産地では、かつて「そば打ちができないと嫁に行けない」と言われるほど生活にそばが根付いていました。
 現在では、各家庭でそば打ちをする機会はかなり減ったと思われますが、集落のイベント等で近所の人が集まってそば打ちをする地域もあり、人を結びつける文化として大切にされています。
 一方で、以前から続くそば打ちブームの流れもあって、主に中高年を中心に「そば打ち愛好家」が増えています。県内でもそば打ち愛好家がつくる団体が多くあり、地域の行事や県内外のイベントでそばをふるまうなどの活躍をしています。
 また、人気の拡大に伴って、段位認定制度やそば打ちの技術を競う大会も各地で行われています。特に、本県で毎年開催される「全日本素人そば打ち名人大会」は、全国各地の予選を勝ち抜いた腕自慢がそば打ちの技術を競うもので、福井がそばの聖地であることを全国に発信しています。
 さらに、最近、高校生のそば打ちが全国的に盛んになっています。毎年8月に東京で開催される「全国高校生そば打ち選手権大会」には、全国各地から20を超える高校生が参加しています。県内でも、現在5校がそば打ちに取り組んでおり、大会やイベント等でそば打ちを披露しています。
 このような盛んなそば打ち文化を裏付けるように、県内には「そば道場」やそば打ち体験施設が各地に存在しており、県民や観光客などが気軽にそば打ちをできる体制が整っています。また、最近は福井駅前にもそば打ち体験施設がオープンし、そば打ちがより身近な存在になってきています。
 なお、今や全国各地に存在する「そば道場」でありますが、その発祥の地は福井となります。1985年(昭和60年)、福井名物おろしそばをそば食文化として伝承していこうと、故・中山重成氏が福井市内に「越前そば道場」を開いたのが日本で最初のそば道場とされています。

            


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